仕事に絶望してから、宝くじを買うようになってしまった。
気分にもよるが、年末ジャンボとサマージャンボは10~30口程度買っている。
また、楽天でBIGが変えるので、週に1口買うように設定している。

いうまでもないことだが、宝くじは期待リターンで考えれば非合理的な商品だ。
宝くじシミュレーターで検索していただいてもいいし、スプレッドシートで自分で計算しても良いけど、宝くじの回収率はだいたい20%台前半である。
換言すれば、期待リターンマイナス80%弱の投資行動だ。

ただし、この商品の商品設計とマーケティングはセンスの塊だ。
だから皆買ってしまう。
最低投資単位の金額(ジャンボ宝くじでもBIGでも300円)と、起こり得る結果の最大値(最近のジャンボ宝くじは前後賞抜きでも5億円、BIGはキャリーオーバーしてれば最高6億円)の倍率は、人間の判断を大きく狂わせる。


⇒プロスペクト理論
行動ファイナンスの代表的な理論に、プロスペクト理論というものがある。
証券アナリストの試験でかじっただけなので正確に説明する知識は私には無いが、平たく言うと、①人間が利得に対して見出す価値は線形ではないということ、②実際に起こり得る確率と人間が感じる確率にはズレがあること、を説明しているといえる。
宝くじの分析で有用なのは特に②の観点だ。宝くじで1等が当たる確率は極めて低いが、買い手は自分には平均よりももっと高い確率で当たるだろうと考えてしまう。都合の良い結果を期待してしまうのだ。
 
⇒1等賞金の設定>
ジャンボ宝くじ1等3億円、前後賞合わせて5億円、BIGのキャリーオーバー時の最高当選金額は6億円、これらはサラリーマンの生涯賃金を露骨に意識して決定されている。
大卒サラリーマンの生涯賃金がだいたい3億円だ。
興味のある方は独立法人労働政策研究・研修機構の調査をご覧いただきたい。
1等があたれば一生労働から解放されるという人間の心理をダイレクトに刺激しているのだ。

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技術的な話になると、宝くじに係るレギュレーションは当せん金付証票法という法律で規定されていて、当せん金の最高金額も同法第5条で法定されている。
現在は、額面金額の50万倍が原則で総務大臣の指定するものは250万倍が上限となる。
つまり、1等が3億円や5億円の昨今のジャンボ宝くじは総務大臣の指定するくじにあたる。聞くところによると当せん金額の上限は年を追うごとに引き上げられているらしい。
totoとBIGは準拠法がスポーツ振興投票の実施等に関する法律になるのだろうけど、こっちは払戻金の計算方法等も政省令に委任されているため、今回はちょっとそこまではたどっていない。

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見れば見るほどに悪魔的な妙手だと感じる。
ただ、くじを購入して結果が出るまでの間のワクワク感は誰しも記憶にあると思う。 
いっとき、当たったら気にいらねぇ上司・同僚どもをフィリーしてトルチョック制裁してやるよという妄想ができるだけでも、300円から3,000円の価値はあるのかもしれない。
宝くじは純粋な金融商品としては成り立たない。
同商品のマーケティングで使われる、夢を買う、という言葉にあるように、消費としての側面がある。

今年のサマージャンボは買いませんでした。