私は依存的な酒飲みだ。

酒がうまいから飲むのではなく、今の自分の状況と恐ろしい明日を忘れるために酒を飲む。

酒は思考を奪い、薬理作用による高揚感をもたらす。

 

アルコールが恐ろしいのは、それが極めて簡単に手に入る快楽だからだ。

欲しくなれば、起き抜けだろうと昼間だろうと深夜だろうと、コンビニかスーパーにでも行って少額のお金を払えばいい。買った後はたた呑み込んで胃に入れればよい。

 

①購入の容易さ

昨今では酒の入手のしやすさが行きすぎているいるようにも思う。

昭和期のフィクションでは、アルコール依存症の父親が、夜中に酒が切れた時は子供に酒屋まで買いに行かせる描写があった。

「酒屋が寝てたら起こしてでも買ってこい。」

劇中の不幸な子供が酒を入手できたかは分からないが、コンビニで買うよりはかなりハードルが高いことは確かだ。

 

コンビニで24時間酒が買えるのは海外と比べても異常だ。

深夜早朝は酒の販売が出来ない国は多いし、購入にIDの提示を求められる場合もある。

 

②使用の容易さ

アルコールによる快楽は簡単に得られる。

ただ、経口で摂取すれば、エチルアルコールの薬理作用として酩酊と万能感が得られる。

 

人間が感じる快楽はいろいろなものがある。

良くできた小説や興味のある分野の専門書を読み理解したことによる達成感や成長感も快楽だし、ジョギングやトレーニングで体を動かすことに快楽を得る人もいる。

アウトプットの快楽もある。文章や音楽でなんらかの作品を作り上げる、つまり自分の内面にあることを表現する快楽がある。そこまでいかなくても、歌を歌ったり誰かに自分の意見を聞いてもらうのは人間が日常的に実行している快楽だ。

 

ただ、これらの快楽はアルコールの摂取と比べるとストレスや苦痛を感じやすいものだ。

インプットもアウトプットもトレーニングも、上手くいかないときや思うように進まないときは苛立ちを感じるし、それなりにエネルギーがいる。


その点で酒は簡単なのだ。ただ、飲めばいい。

人間は往々にして、より質や量が優れた快楽よりも、得ることが簡単な快楽に走る。