いつものごとく「働きたくない」とか「働かないで生きる」でウェブを検索していたら、「人間やめたい」というワードに出会った。
いい言葉だ。
俺は人間になりたくないよ、ベム。
おれも人間をやめたいよ、ディオ。

植物になりたいとよく考える。
光と二酸化炭素と水から力を得て、自立して生えている。
食事も着るものも家もいらない。

同じように、すごく燃費が良くてタフになりたいとも思う。
食事を取らなくても良くて、暑さ寒さに強く服を着なくても良い、家がなくてもそこら辺で睡眠が取れる。
植物は哺乳類が進化した姿なのではないかという、ぶっ飛んだアイデアにまで思いが至った。

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中島みゆきさんの「瞬きもせず」という曲が好きだ。
初めて聞いたのは大学時代だった。
今でもポジティブになりたい時用のプレイリストに入れてある。
歌詞に以下のような一節がある。

『ああ、人は獣
牙も毒も棘もなく、ただ痛むための涙だけを持って生まれた
裸すぎる獣たちだ』

私は、この「痛むための涙」をずっと「痛むための心」だと思っていた。
沢木耕太郎氏の深夜特急で、横浜に寄港したことがあるというギリシャ人の船乗りが言っていたある言葉が頭のなかにあったからだと思う。
彼は、短い滞在で覚えた片言の日本語で「イタムワタシ、イタムココロ」と言っていたのだ。

孤独と人間関係の軋轢は、それぞれ違った方法で人の心を傷つける。
社会性を組み込まれたヒトという種族である以上、逃げ場所はないのかもしれない。


Singles 2000
中島みゆき
ヤマハミュージックコミュニケーションズ
2002-04-17