タイトル:外資系投資銀行のエクセル仕事術
著者:熊野整
出版社:ダイヤモンド社

私のエクセル遍歴は、最初の会社に就職し、研修を終えて初任部署に配属されて3日目から始まる。
ファイルからファイルにデータをコピペして、集計表を更新する作業をタスクとして与えられた。
数式が入っているセルをそのままコピペしてしまい、教育担当だった三十代半ばくらいのおねいさんに深い溜息をつかれた。
(気がつけば私もこの当時のおねいさんと同じくらいの年になっちまった。)

弁明すると、学生時代は法科だったので、特に表計算するような課題が出ることもなく、使用経験が無かった。
また、新人研修でエクセルの使い方くらいやってくれても良かったんじゃないかと思う。 

とはいえ、これが出来なきゃ仕事にならない。
コピペも満足にできなかった新入社員は、半年後にはVLOOKUP、INDEX&MATCH、STDEVくらいの関数と行列式の使い方を理解し、1年後にはマクロ記録で作ったのをいじる程度のVBAを習得していた。 
残念ながらそこから先はあまり進歩していない。

閑話休題。
表題の本は、モルガン・スタンレーの投資銀行部門で勤務経験がある著者が、エクセルで効率的に作業し、見やすいアウトプットを作るための技術と考え方を紹介したものだ。

意外なことに関数やマクロの説明は全くない。
あくまで作業のコツと見やすくするための技術に的を絞っている点が潔い。

自分ですでに実践していることも書いてあったので、ちょっと気分が良い。
例えば、シートの端は一列一行空けて始めるとか、新しいシートで作業を始めるときは全体を選択して書式にカンマ付けて背景白にするとか、関数は+から打ち始めるとか(=だとShiftと同時押ししないと出ないでしょ)。
 
効率的な作業のところで、グループで共通のルールで作成することを徹底するということが強調されている。
至極最もだと思うが、難しい会社には難しいかもしれない。
投資銀行の人間の多くは数字が好きでこだわりもあると思うが、業界が変わると人の質がそこまで均質じゃない場合があるからだ。
 
[ためになったこと]
・行の高さは18
・内訳は1列ずらす
・英数字フォントはArial
・単位は1列使う 項目と同じセルに入れない
・表の横線は上下端が太く、中は細く。書くよりセルの書式設定が便利。縦線はいらない。
・文字は左寄せにし、数字と数字の縦方向の項目名(年度など)は右寄せにする。
・計算式は青 、ベタ打ちは黒、というように色を分ける。計算式と数字の混在は避ける
・大項目に色をつけるときは薄い青か薄いピンク、太字やイタリックで協調はしない方が良い
・Ctrl+1 セルの書式設定(これはすごく便利)
・Ctrl+「 参照先に飛ぶ(知らなかった!)
・リボンのショートカット(リボンが無い時代のオフィスから使い始めた身にはつらい。昔からあったのかな。) 
・データテーブル(データ→what-if分析)で感応度分析ができる