平成28年6月20日、断酒113日目にしてSLIPする(酒を飲んでしまう)。

ふとしたきっかけで、自分が今感じていている苦悩は、この時代にこの国で生きている人間に共通なのだという考えに至った。
他人が嫌いなのも、働くのが嫌なのも、家族が嫌いなのも、普遍的な感情なのだ。
迫害を恐れて声に出さないから、皆自分がマイノリティだと考えているだけで。
時代と環境が、一定程度そのような人間を生み出している。
ああ、俺はそこまで特殊なわけではないのだ。

そのような思いに至ったところで、無性に酒が飲みたくなった。

アルコールはサタンだ。
アル中の生活を思うと、恐ろしくて恐ろしてくてたまらない。
だが、今日はこれまでにない乾きを覚えている。

苦悩からの逃避ではなく、開放の糸口をつかんだのだ。
この状況でエチルを摂取して生じるのが思考の鈍麻か、あるいは思考の加速かはわからない。
ただただ、喉が乾く。
オリジナルな苦悩を失ったゆえに、酒で埋め合わそうとしているのか。

失踪日記2 アル中病棟
吾妻 ひでお
イースト・プレス
2013-10-06