タイトル:年収100万円の豊かな節約生活術
著者:山崎寿人
出版社:文春文庫

30歳で会社を辞め、以後20年に渡り無職生活を続ける山崎寿人氏の著作。
山崎氏は、二浪して東大に入学し経済学部を卒業。
その後、酒類メーカーで広報業務に携わり、入社後5年が経過した際に小説家を志し会社を辞める。
会社を辞めてからしばらくはフリーランスで働いたり、当時の日本新党(時代を感じる!)に事務局として参画したりしつつ小説を書いていた。
やがてどれもしなくなり20余年が過ぎた、という経歴の持ち主だ。

節約術で人生を豊かに

本書は節約術の紹介を主眼としているので、水道光熱費プラス食費を月3万円、年間36万円で収めるための方法論や考え方を中心にしている。
住宅にかかる費用やそれ以外の子女の養育費等は人によって差が大きいからとのことだ。
Bライフの高村氏が大学院時代に借りた高輪の風呂無し物件が3万2千円20代で隠居の大原氏が町田に借りている物件が3万円というのを考えると、8万3千円(100万円/12ヶ月)-水道光熱費食費3万円-最低限の家賃、で2万円くらい余る。
考え方は人それぞれだと思うが、この程度のダウンシフトで自由時間の最大化が叶うのであれば、魅力的だと考える人は少なく無いと思う。
なんだか最近は、こういう働かない生き方の本ばかり読んでいる。

「稼いで使う」というスタイルに染まっている人と話すと、時間の節約のために費用を支払うの理にかなっているという考え方が多い。
自炊は時間がかかるから割にあわない、割高でも近くにあるコンビニで買い物をすることは合理性がある、このようになる。
ただ、時間を捻出するために支出する資金は、多くの場合自分の時間を使って稼いだお金である。
これは人生の浪費だ。
節約することでお金が浮く、その分を労働ではなく自分の好きな行動にあてる。
労働に疲れた身には、この考え方は痺れるように魅力的だ。

実践的アドバイス

本書の述べる節約術の骨子は以下の通りだ。
①料理の技能を高めることで、Quality of Lifeを下げないで食費を抑える
これは向き不向きもあるのかもしれないが、pfa氏など多くの人が指摘していることだ。
実践的なアドバイスとしては、③で稼いだ定常外の収入でホームベーカリーとヌードルメーカーを入手する、食材のまとめ買いは極力しないが調味料はまとめ買いする、ハーブを育てる、などが挙げられている。
②定期支出を見直す(散髪、自家用車、酒・煙草)
散髪は電動ヘアカッターを入手しセルフで行う、自家用車は手放し原付きを普段の足にする、煙草は辞め、酒は集まりの席だけにする、などなど。
③負担にならない方法で定常外の収入を得る(ポイントサイト、治験、ミステリーショッパーなど )
どちらも有名な方法だが、熱中し過ぎて生活を侵さないように年間20万円までと上限を設けているとのことだ。
ここで稼いだ「特別会計」ともいうべき予算で、自炊用の用具や電動ヘアカッターなど、QOLを維持しつつ定期支出を減らすための道具を購入する。
ちなみにポイントサイトの還元率は年々渋くなっており、ミステリーショッパーも人気で当選が難しくなっているのことだ。

不労所得の作り方は自分で見つけないといけない

年収100万円の不労所得の作り方は本書には書かれていないので、それは自分で考えないといけない。
「働かないって、ワクワクしない」でもそうだったが、この手の本は不労所得の作り方は教えてくれない。
氏は相続したマンションを保有しており、その年間賃料が概ね年間100万円とのことだ。
2ちゃんねるだと、「資産2,000万円からの半隠居生活」というスレがあるが、2,000万円を年率5%で運用して100万円と考えると、資金2千万円と同等かそれ以上のものを持っている状態でスタートしたことになる。
スタート時点から不労収入を持っているという、なんとも羨ましい身分である。

ちなみに、節約によって得た自由時間で著者がどういうアクティビティをしているかはあまり述べられていない。
本書のテーマとは外れるのかもしれないが、隠遁志願者としては先輩の生き方が気になった