その1の続きです。
関連記事:金融政策の限界~~ その1

「その1」
では、中央銀行がかなり踏み込んだ金融政策をしているにも係わらず、資金需要にも物価の上昇にもさほど好影響が出ていないことを述べた。
なんでお金の周りが良くならないのか。
緩和が不十分なのか。
私見を述べると、これは皆が未来に対して希望を持てないことが原因だと考えている。

結局のところ人口動態

希望が持てない理由は主に以下の2つだと考えている。
①長寿命化
果たしてどれだけの人が、自分が90歳、100歳まで生きてしまった場合に備えるだけの十分な貯蓄を、65歳までの現役時代に蓄えることが出来るだろうか。
もちろん、生活に足りないのであれば定年退職後も働き続ければいい。
ビスマルクが65歳定年を導入したとき、ドイツの平均寿命は45歳であったという。
とはいえ、70代になっても自分はフローの所得を生み出し続けることが出来ると考えられる人も決して多くないだろう。
自分が長生きしてしまう可能性について、多くの人が内心で恐れているのだ。

②少子高齢化
経済の潜在成長率は、労働力(労働人口・労働時間)、資本ストック、生産性(≒イノベーション)で決定される。
現状を俯瞰するには、こちら(経済産業省の通商白書の1節)をご覧頂きたい。
1996年以降、日本では労働力は潜在成長率に対してマイナス寄与が続いている。
(完全週休二日制の導入もあるので労働時間要因も影響している点には注意。)
移民に頼らないかぎり、労働力要因のマイナス寄与は今後もっと大きくなるだろう。
資本ストックが急激に増加することは考えにくいので、労働力減少のマイナスを生産性向上で埋めないかぎり、僕達は貧しくなっていく。
また、社会保障費の増大で、数を考慮すると消費へのインパクトが相応に期待される、上位中間層への収奪が激しくなっている。
収入の3割近くを源泉徴収されるにも係わらず、自分たちが受給する時代には年金制度が現状より不利になっている可能性が高い。
この状況で消費をするのは相当の図太さがいる。

消費できないお金の向かう先

未来に希望が持てない現在の経済循環において、金融緩和の資金が流入しているのは2つのセクターだ。
一つは住宅、もう一つは証券市場だ。
住宅についていうと、首都圏のマンション価格はここ3年間で23%上昇している。
証券では、安全で利回りが期待できる資産ほど資金流入があり、収益機会が減少している。
日本国債は10年債もマイナス金利だ。
社債の金利も下がっている。
REITなどの配当収入が期待できるエクイティ資産にも過熱感が出ている。
住宅と証券の両方に共通するのは資産性を有するということだ。
未来が不安なので、使ってなくなる消費にはお金を使えない。
日本は昨年後半以降に株式市場が相応に調整したので、証券への資金流入は一服したと見ていいだろう。
首都圏では引き続き住宅への資金流入が継続している。
住宅への資金流入が鈍化したとき、果たしてお金は何処に向かうのだろうか。
明るい未来を描けないなかでは、マイナス金利であっても現金をホールドするという選択が多数派になると考えている。

追記:
この記事を投稿したその日に、以下の様なニュースが出た。
果たして、現物不動産もここでピークアウトとなるのか。
首都圏「億ション」変調、契約率70%割れ 7月、販売価格も2カ月連続下落