カンボジアのプノンペンを拠点に活動するライターのクーロン黒沢氏の発行する電子雑誌。
黒沢氏はインドシナ半島在住約20年。
現在はプノンペンと日本を行ったり来たりしながら、電子書籍の発刊などをしているようだ。

発行者のクーロン黒沢氏について

クーロン黒沢という人は、個人的にかなり思い出深い人物だ。
私が初めて海外旅行をしたのは同世代人の中では遅く、大学3年生の時である。
東京-バンコク往復の期間3週間の航空券を購入し、タイ、カンボジア、マレーシア、シンガポールをふらふら旅した。
今でも覚えているのだが、その旅では私が乗るはずだった成田空港発のユナイテッド航空機(米国から日本を経由しバンコクに向かう)が、10時間くらい遅延した。
そんな手持ち無沙汰な中、成田空港の書店で何気なく手に取ったのが黒沢氏の著書『怪しいアジアの歩き方』(KKベストセラーズ)だった。
詐欺られそうになった話やボッタクられた話や性風俗など、一般の旅行関連の書籍には乗らないような情報が活字になっているのが新鮮だった。
私が読んだ旅の本で言えば、沢木耕太郎とも下川裕治とも蔵前仁一のどれとも違っていた。

本書の魅力

そんな黒沢氏が編集長を務める雑誌なので、内容も執筆陣もフリーダムでクレイジーだ。
カンボジアでのビジネスやベトナムでのエロサイト運営の末に視力を失ったCEO井上氏、スーパー売春トラベラーDJ北林氏、などなど。
一応、電子書籍の発行に関する体験談や自助会に参加したレポートなど、真面目な(?)読み物もあったりする。
また、下川裕治氏が寄稿している号もあって驚いた(もちろん内容は真面目)。
執筆陣のフリーダムな生き方を見ていると「毎日の仕事に耐えられなくなったらこういう人生もあるよな!」と変な元気が出てくる。
逆に「こういう生き方は自分には無理だ。やっぱり真面目に仕事するしかねぇな。」という気持ちになる人もいるかもしれない。

2013年に刊行し、本稿の執筆時点で第25号まで出ている。
1冊250~380円だが、全号Kindle Unlimitedの対象なので私は読み放題で読んでいる。
第1号の黒沢氏の記事によると、本シリーズはもともと有料メルマガとして出そうとしていたらしい。
だが、ネタ的にまぐまぐ等の審査に通らなそうだったため、電子書籍として出版したとのことだ。
基本的に自分の気になったヘッドラインのものから読み始めて行けば良いと思うが、個人的には地獄のCEO井上氏の特集がある第3号、第4号をお勧めする。
なお、誌名については「サマナってオウム真理教の出家信者のことじゃないっけ?」と思ったが、samana(shramana)でインド仏教における苦行者を指すようだ。
公式サイトの説明は以下の通りある。
『シックスサマナという誌名は、ブッダの弟子となったはいいが、自由すぎて異端視された六人の偉大な思想家(六師外道)にちなんだものです。』


 創刊号


オススメの地獄のCEO井上氏の特集


最新号