まとめサイトを見ていたら、以下の記事について取り上げているスレッドをまとめた記事があった。
記事は「親になる自信がない」「経済的に余裕がない」「仕事との両立が困難」などの理由で、子供はいらないと考える人が相当数いるという内容だ。
書き振りは結構強引で、厚労省の国民生活基礎調査の一部と女性セブンが行ったアンケート調査をちゃんぽんして、あたかも子作りに消極的なカップルが増えたせいで「夫婦のみの世帯」の数が30年で2倍以上に増えたような印象を与えている。
子供を持たない夫婦が増えているのは感覚としてはよく分かるのだが、「夫婦のみの世帯」が倍増していることは核家族化が進んだことの影響のほうが大きいのではないだろうか。

子をなすことへの躊躇

私は、家庭に対して良いイメージが無く、結婚も子供も望んでいない
もちろん、自分のリアルな交友関係では、このような考え方をする人間はごく少数派だった。
そして、それが社会としては正常な姿だと感じていた。 
上述の記事にある、女性セブンが行ったアンケート調査だと、20代から80代の男女594人にアンケートして、18.5%は「子供はいらない/欲しくなかった」と答えたとのことだ。
40歳以下を対象としたアンケートならば2割が「子供はいらない」と言っても特段違和感はないが、対象の年齢層を考えると思っていたよりも多い。
引用元のスレッドとまとめの記事と記事のコメント欄を一通り読んでみたところ、子作りに消極的になる理由はおおまかに4つに分類出来るのではないかと考えた。

1.反出生主義

この世は地獄。生きることも死ぬことも苦痛なので生まれてこない方が良いという考え。
私のように自分が生まれてこなければよかったと思ってる人には親和性が高い。

2.将来が不安(マクロ)

少子高齢化、年金制度の破綻、膨大な国家債務など、今後の日本の行く末を考えると、果たしてこれからの時代に生まれて幸せなのだろうかと考えてしまう。
環境問題等の地球規模の問題に目を向ける人もいる。

3.将来が不安(ミクロ)

情報過多の時代で、子供関連のトラブルや悲劇の情報が広範に流布されている。
損害保険会社が、子供が自転車で老人を轢いてしまう内容のCMを流す。
まとめサイトは、こういう話題があると【日本終了】という扇情的なタイトルでトラフィックを稼ごうとする。
誘拐、学級崩壊、体罰、いじめ、入試失敗、就活失敗、ニート。
また、自分が老後寝たきりや痴呆になって子に迷惑をかけてしまわないかという危惧もあるだろう。

4.お金が無い

収入が少ない・収入が不安定といった理由で、子供を持つことを躊躇してしまう。
また、お金の問題は3.と同様に他人の情報が入手しやすくなっていることで悩みが増えていると思う。
子供一人あたりの養育費は3千万円という数字は独り歩きし過ぎていないだろうか。
また、少子化に伴い子供一人あたりにかける費用の目線が高くなってきているとの指摘もある。

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「子供が今の時代に自分の子として生まれてきて幸せだろうか」と考えられる人は、考えられない人よりも思慮深い。
本来はそういう思慮深い人間ほど子孫を残すべきなのかもしれない。

ショーペンハウアーは、世界を万物の持つ意志の闘争の場と捉えた。
そして、性欲を満たすことは最も積極的な意志の肯定であるとする。
その一方で、彼の倫理学の到達点は意志の否定だ。
意志を否定した解脱者は生殖の意志を失い、やがて種族は絶滅するという