帰ってきたマイナス思考に自信ニキ

他人の言うことに流されたり傷ついたりしないで、自分の頭で考えて生きていきたい。

カテゴリ: 読んだ本

タイトル:ナマケモノでも「幸せなお金持ち」になれる本(THE LAZY PERSON's GUIDE TO SUCCESS)
著者:アーニー・J・ゼリンスキー(邦訳:前田曜)
出版社:英治出版

先に読んだ「働かないって~」は軽薄なタイトルに反して、「自由時間」の持つ価値と、能動的な行動の与える満足感などを説いた結構目から鱗が落ちるような内容だった。
原著の出版は「働かないって~」が2001年、本書が2003年だ。

私なりの理解だと本書のエッセンスは以下のとおりだ。
・世間では勤労の美徳のもと、長時間労働が一般化し、仕事人間を基準に物事が考えられている。
・金銭は万能ではない。また、金銭的な欲求を追求するとどこまでいっても満足出来ない。
・世間一般で言われる成功を所与のものとせず、自分の求める幸福を自分で定義し、そのために行動する。
・ナマケモノだからこそ、知恵を絞って独創性を発揮し、自分にとってやりがいのある仕事をする。
思わず膝を打つような言葉も相応にある(『遊ぶための時間は自分で積極的に作り出さない限り永久に持てない』など)が、全体を通してみると観念的な話が多くダラダラした印象を受けた。
著者の本を1冊だけ読むのであれば「働かないって~」の方を勧める。
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カンボジアのプノンペンを拠点に活動するライターのクーロン黒沢氏の発行する電子雑誌。
黒沢氏はインドシナ半島在住約20年。
現在はプノンペンと日本を行ったり来たりしながら、電子書籍の発刊などをしているようだ。

発行者のクーロン黒沢氏について

クーロン黒沢という人は、個人的にかなり思い出深い人物だ。
私が初めて海外旅行をしたのは同世代人の中では遅く、大学3年生の時である。
東京-バンコク往復の期間3週間の航空券を購入し、タイ、カンボジア、マレーシア、シンガポールをふらふら旅した。
今でも覚えているのだが、その旅では私が乗るはずだった成田空港発のユナイテッド航空機(米国から日本を経由しバンコクに向かう)が、10時間くらい遅延した。
そんな手持ち無沙汰な中、成田空港の書店で何気なく手に取ったのが黒沢氏の著書『怪しいアジアの歩き方』(KKベストセラーズ)だった。
詐欺られそうになった話やボッタクられた話や性風俗など、一般の旅行関連の書籍には乗らないような情報が活字になっているのが新鮮だった。
私が読んだ旅の本で言えば、沢木耕太郎とも下川裕治とも蔵前仁一のどれとも違っていた。
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タイトル:なぜ日本人は、こんなに働いているのにお金持ちになれないのか?
著者:渡邉賢太郎
出版社:いろは出版

著者は大学卒業後証券会社でリテール営業をしていたが、リーマンショックを機に会社を辞め、世界を旅した。
そこで見た人々の生活などを通して考えたお金に対する考え方などが書かれている。
著者は1982年生まれ。私と同世代人である。

書店でタイトルを見て気になっていたのだが、アマゾン等のレビューで酷評されていたので手に取らなかった。
読んでみてなるほどと思ったが、同じようなことが細切れに何回も書かれており冗長な印象を受ける。
その割に、タイトルの問いへの回答が明確になされない。
金融教育の不足を指摘するが、どのような教育が必要か提言がない。
お金では幸福になれないと指摘するが、ではどのように考え方をシフトさせるべきかがあまり語られない。
また「ロンドン証券取引所の外国為替の一日の平均取引金額は2兆7260億ドルで、ダントツの世界一。」という信じられないような嘘が書かれている。
インターバンクの為替取引は取引所取引ではないというのは気の利いた大学生でも理解していることだ。
誰か校正しないのだろうか。。。

ただ、読んでいていくつか参考になる観点もあった。
◯イングランド銀行の博物館では気球を上下に動かすゲームで金融政策によるインフレ率の操作を説明している
◯現代の日本人は価格交渉が苦手だ。 定価販売を始めたのは三井高利の越後屋という説がある。
これは金融リテラシーと絡めると非常にはっとした観点だ。
企業価値分析におけるDCF法や、オプションのプライシングにおけるブラック・ショールズモデルのような「資産評価モデル」は 現代のファイナンス理論の大きな柱だ。
これはまさに、モノの価値を評価することだ。
定価販売は便利だ(私は人と話すのが嫌いだから定価販売大好き)が、消費者が自身で価値を評価するという観点を曇らせてしまっているのかもしれない。

積極的には薦めませんが、旅行記が好きな方はそれなりに楽しめると思います。



タイトル:「働きたくない」というあなたへ
著者:山田ズーニー
出版社:河出書房新社

著者は、ベネッセコーポレーション(当時は福武書店)で小論文指導を長年勤めた後に独立。
現在はフリーランスとして、糸井重里のほぼ日刊イトイ新聞などに寄稿をしている。
本書も「ほぼ日」上で連載していた「おとなの小論文教室」というコーナーの内容をまとめたものだ。

-『結婚』が将来の夢であると言った男子学生
-「楽しく生きたい。そのためにお金がほしい。玉の輿に乗るための相手を探すために就職はする。」といった女子学生
山田が「働きたくない」という学生たちと話す中で感じた問題提起に対して、就職活動中の学生、現役の会社員、専業主婦、無職、様々な背景の人々が自分の考え方を投稿する。
彼らの「働くこと」に関する意見を、山田が自身の意見を交えて取りまとめていく。
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タイトル:自由な働き方をつくる-「食えるノマド」の仕事術
著者:常見陽平
出版社:日本実業出版社

著者は、リクルートとバンダイで勤務した後に独立した人物だ。
独立後は、人材コンサルティング会社の立ち上げに参画したり、大学院に行ったり、執筆家・評論家として活動している。
人材・キャリア関連で多くの著書があり、BLOGOSにも寄稿しているので、氏の文章を読んだことがある方は多いと思う。
本書は、日本でフリーランスとして生きていくためのストラテジーについて書かれたものだ。
その背景には、2012年くらいに流行った「ノマド」礼賛に対する著者の違和感がある。

著者は人事関連の仕事が長く大企業での勤務経験も長いので、極めて地に足のついた議論をする。
大企業のサラリーマンが独立する上で参考にするのであればもってこいのロールモデルであろう。
反面、雇われて働くことに絶望しており、この絶望をなんとかしたいと思っている人(私のことだ)には耳が痛い。
フリーランスであっても、人間関係から完全にはフリーになれるわけではないし、明確な強味がなければ仕事を得られない。

本書は5章だてで、以下の内容について語られる。
①日本における「働き方論」の変遷
②日本におけるフリーランスのリアル
③フリーランスに向いているかの自己分析の勧め
④⑤フリーランスで働く上でのノウハウ
②、③あたりもかなり面白いのだが、本稿では①について取り上げたい。

日本におけるノマドの支持者達の主張が楽観的に過ぎるのではないという違和感から、筆者なりにノマドを定義しようと試みる。
社会学者の古市憲寿の論考等を引いて、「ノマド」は会社に雇われない生き方(昔の脱サラと同じ)の2010年代版のスタイルであると仮定する。
戦前の漱石の作品によく出てくる高等遊民からは、どことなくノマドの匂いがする。
戦後の1960年台は、町工場を立ち上げる人間がたくさんいた起業家の時代であった。
その後の1970-80年代にかけては、脱サラブームが到来する。
1990年から2000年台初頭にかけては、フリーターや派遣社員といった働き方が登場した。
ノマドは、技術革新と社会の発展により自由な働き方のコストが低下したことにより産まれた、会社に雇われない生き方の現代版のスタイルなのだ。

また、当サイトでも取り上げたダニエル・ピンクの「フリー・エージェント社会の到来」についても言及されている。
ノマドの擁護者は、同書の「米国では4人に1人がフリーランス」という内容を引用する。
しかし、彼らの多くが、同書で言うフリーランスには配管工やトラック運転手などの職業も含まれている点を見落としていると指摘している。
確かに、同書のフリーランスは「自営業者」と解する方が日本人にはしっくり来るかと思う。

タイトル:シリコンバレー式自分を変える最強の食事(原題:THE BULLETPROOF DIET)
著者:デイヴ・アスプリー(邦訳:栗原百代)
出版社:ダイヤモンド社

著者のDave Aspreyは、カリフォルニア大学サンタバーバラ校を卒業後、起業やIT企業でエグゼクティブとしての勤務経験を持つ。
20年前のデイヴは、シリコンバレーの若き億万長者の一人であり、誰もが羨む成功者であった。
だが、当時のデイブは、体重140キロ、血液ドロドロ、副鼻腔炎と咽頭炎で頭が働かない、といったフィジカルボロボロの状態であった。
カロリー制限と運動をするが体重はなかなか減らない。
「恐ろしいことだった。デブだけでも悪いのにおまけにバカとなれば、大好きな仕事をして暮らしていけない。」
デイブは、30万ドルの私費を投じて、自らの肉体を『ハック』することにする。
何を食べれば体にどのような変化が起こるのか?
データを子細に取り、一つずつ原因と結果を特定する。
そうして生み出されたのが本書で提唱されているBULLETPROOF DIETだ。
BULLETPROOFは防弾という意味だけでなく、本書の邦題にある「完全無欠」とか「無敵」というような意味があるようだ。
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タイトル:20代で隠居
著者:大原扁理
出版社:K&Bパブリッシャーズ

「節約生活」と併せて購入したダウンシフトして生きる人の本。
著者の大原氏は、東京の多摩地区に共益費込み29,500円の家を借り、だいたい月7万円くらいで生活している。
週に2日介護の仕事で働いており、支出は概ねその収入と拮抗している。
氏のスタイルは、脱力系だが徹底している。
洗濯や掃除には重曹を使い、食べられる野草を摘んで食料にする。
他のダウンシフターもなかなかここまではやっていない。
また、性欲への対処に関する記述はサプライズだった。

・孤独に耐えられる人間は強い

フルタイムで働くと、いろんな人間と協働する時間が長くなる。
「気に入らない人でもいいところを見つけよう」という考え方は窮屈だと筆者は指摘する。
確かに、一人のほうが気楽だと考えられる人間には不要な考え方かもしれない。

・「皆がやっているから」で納得しない

筆者もフルタイムで働いていた時期があるため、長時間労働や東京の家賃が高いことについて不満を持っていた。
これを人に言うと、「皆そうだよ」とか「仕方ないよ」というリアクションが返ってきたという。
氏はそこで納得しなかった。
長時間労働をやめるには生活費をかけずに暮らせばいい、家賃が高いなら安い場所に行けばいい。
そのように考えて行動した結果が現在の隠居生活なのだ。

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脱力系のタイトルと書きぶりとは裏腹に、他人に流されない強い生き方だと感じた。 



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